女性が一人で起業をするときに気を付けたい事

女性が一人で起業をするときに気を付けたい事

働く女性が珍しくなくなって久しい現代ですが、これに併せて「起業したい」とお考えの女性の方もどんどん増えています。
「もっと色々な仕事をしたい」「もう少し好きに仕事ができたら」と、自分で会社を興したり、自営業の道を模索している方は、おそらく多いはずです。

働き方改革という言葉が生まれたように、一昔前と比べると様々な法整備が進みましたが、それでも「育休」の問題が今なおあったり、自分のペースで仕事をするという点では、今一つに感じることもあると思います。

自営業となって、自分の好きなように時間を割り振りして、今よりも自由に時間を使いたい、と思われそうですが、やはり一筋縄では行かないこともたくさんあります。

今回は起業したいという女性に向けて、そのメリットやデメリット、さらに具体的におすすめなビジネスの内容まで、詳しく解説していきます。
もし、起業やフリーランスを検討中でしたら、是非参考にしてみてください。

現在の「女性」による起業の現状

まず現在、日本で「女性」が起業したというケースがどれほどあるのか、どういう年齢層かについてまとめてみます。
2017年の政策金融公庫発表の、新規開業実態調査では、男性が81.6%、女性が18.4%という数字でした。
そして、2021年3月現在、今まで行われた日本政策金融公庫の調査では、この2017年が最も女性起業家が多い年となっています。
つまり女性で起業する方は、未だ全体の2割にも満たないという状況です。

年齢層は、同じく2017年度の同調査では、30代が34.2%、40代が34.1%と多く、平均年齢は42.6歳でした。
年齢層については男女どちらも同程度ですが、女性の起業家は非常に数が少なく、様々なアドバイスをしてもらいやすいので、勉強会や交流会に参加すると新たな視野がどんどん広がっていくと思います。
さらに最近では、女性の起業家だけを対象としたイベントや交流会も頻繁に行われているため、横のつながりからの助けも得られます。
いきなり起業をして、男性だらけのセミナーや交流会に飛び込むのは不安という方でも、こういった支援の環境が整いつつありますので、ハードルはある程度低いかと思います。

女性の起業のメリット、利点

女性ならではの視点がある

いわゆる「女性目線」のサービスが展開できるのが大きなメリットの一つです。
女性の起業家が増え、一言で「女性目線」での展開と言っても限りがありそうですが、女性が起業をして代表となるケースは未だ全体の2割しか無いため、まだまだ開拓の余地があります。
元々、女性の社会進出に伴って購買市場が一昔前よりも極めて大きくなっているため、需要のある製品、ニーズは様々あります。

特に家庭の家計を預かっているのは、今でも女性の側の方が多いですので、そこを狙ってのビジネスは充分効果的と言えます。
女性、主婦ならではのニーズに気付きやすいため、一般的な男性のサラリーマンが考えるよりも効率よく、また思いがけない視点からの発想も生まれます。

同じような課題、問題に直面している

上記に付随して、特に主婦は家事育児、また日々の家計のやりくりなど、一般的な主婦が持つ課題がある程度同じように、理解しやすいはずです。
ビジネスは、人間が持っている課題をいかに解決出来るか、というところからスタートするものですので、現代社会の主婦や女性の持つ課題を一番分かっている人ほど、ビジネスのチャンスに溢れていると言えます。
課題とは、モノの開発でもサービスでも、どちらも当てはまることです。
生活の中でどれだけ些細な事でも、何らかの課題、問題があれば、それはビジネスになり得る可能性を持っています。
悩みの当事者であれば、その悩みに対して真っ向から立ち向かい、解決するということが出来ます。
自分でも解決したいことがあれば、それを一つのビジネスチャンスととらえて、向かってみてはどうでしょうか。

女性が起業するデメリット

プライベートと仕事のバランスがとりにくい

これは会社を辞めて自営業となる方全員に言える事ですが、プライベートの時間と仕事の時間のバランスがとりにくいという問題があります。
女性で、お子さんが居る場合は特に重大な問題になります。

起業をするという事は、将来的には従業員やマネージャーなど、サポートしてくれる人が置けるかもしれませんが、一番最初はほとんどのケースで、全て一人で行う必要があります。
税務を税理士さんに任せるなど、支援のためのサービスをどれだけ使うにしても、一旦はそのために時間を割く必要がありますので、必然的にこれまでよりも家事や育児の時間は大きく減ります。

さらに言うまでもなく、自分の思い通りに全てが進むとは限りません。
事前にあらゆることを想定してプランを立てていても、イレギュラーでとっさの対応に迫られることは充分あります。
少し有名ですが、ある宇宙の事業を興そうとした女性の方で、その資金の調達の真っ最中に妊娠が発覚したという事があります。
数億円規模の事業で、投資がストップする可能性もありましたが、妊娠中にもかかわらず自ら出張に行くなど精力的に活動を続け、出産から1か月で仕事に復帰し、見事に事業をスタートさせたのです。
肉体的にも精神的にも相当な負荷がかかっている中でも、休みを最小限にして活動を続けてきたのは「宇宙に関する事業をしたい」という、物凄く強力な気持ちがあったからこそです。

起業して一人でビジネスをしていくのは、男女問わず大変なことですが、育児中の女性においては一層大変で、リスクを伴うことですので、強い覚悟が必要になります。

また、実は女性のための起業の公的なサポートはほとんど無く、男女一律での起業支援になります。
一般的な企業、法人に勤める女性であれば、働き方改革に伴う公的な支援制度がいくつかあり、例えば育休や産休でも給与が発生するということがありますが、起業するとそういった制度はありません。

経営、財務の知識に疎い

これは男性でも多いですが、やはり起業をするという事は、今までには無い新しい経理、お金のやり取りが発生してきます。
また業務の内容にもよりますが経営の知識もある程度知っておかないと、思うように進まず苦しくなっていく場合があります。
業務の内容によっては、事前にある程度、経営そのものについてのノウハウ、スキルを勉強してから起業を検討することも大切です。
また予算は掛かりますが最初から人を雇って、分担しながら進めるという手ももちろんあります。

女性の起業家が起こしがちな失敗

起業と一口に言っても様々な失敗があります。
男女問わず起業は難しいものですが、一番危険なのが「起業を軽く見て、気軽にやってしまう」という事です。
男性でもあり得ますが、社会人として働いてスキルや人脈があるのでしたらまだしも、少し働いただけでなんとなく仕事を辞め、起業すると言うのはおすすめできません。
起業するという事は、仕事を自分で得て、そしてきちんと収益を出し、それで生計を立てるという事ですので、きちんとしたビジネスモデルを作る必要があります。
言うまでもなく、起業して成功している方は皆さん、お金の動き、ビジネスにおいては真剣に向き合っています。
様々な性格があり、個性的な方が多いように思えても、顧客と直接やり取りするビジネスに関しては全員、真剣に、真面目に取り組んでいます。
どれだけ覚悟とやる気があっても、簡単に出来そうというイメージで行ってしまうと、思うように事が進まず、貯めた予算や貴重な時間を無駄に使うことになります。
簡単に、何気なく起業するというのは非常に危険ですので、必ず、一つ一つをきちんと考えて、すすめていくようにしてください。

そしてもう一つが、上記の反対に、自分が思いついたアイデア、商品やサービスを自分で気に入り過ぎて、やる気と覚悟がみなぎり過ぎてしまい、顧客のニーズを冷静に考えていない状態で起業するケースです。
いわば「自己満足」とか「勇み足」での起業となり、失敗する可能性が高いケースの一つとなります。
どれだけ便利で、唯一無二の物だと確信していても、顧客がいるかどうか、実際にニーズがあるかが重要ですので、決して勇み足にならずに、きちんと落ち着いて理解して、準備して行くのがおすすめです。

女性におすすめの起業例

インターネットショップ、ECサイト経営

まずはやはり、自分の「ショップ」が一番の例になります。
物販と言うと、今ではフリマサイトやネットオークションサイトを使ってのやり方が多いですが、店舗のように、自分のオンライン通販サイトを持って行うというやり方ももちろん可能です。

内容はありとあらゆる「モノ」が対象になります。
いわゆるセレクトショップとして、洋服やハンドメイド雑貨、おすすめの化粧品の輸入販売、自分でセレクトした物、これから流行りそうなものを見極めて売るということも出来ます。

また自分の絵やデザインをプリントしたものを販売するのも、一つのアイデアです。
さらには、自分はサイト作りとセールスだけで、デザインそのものは外注にするとか、デザインは知り合いに任せて二人三脚で起業をスタートさせるのも一つの選択になります。

ショップを始める際のポイントとしては、「安心感を持ってもらう」ことが何より重要です。
現在、ネットショッピングサイトと言うと数え切れないぐらいのものがあります。
そんな中、安心して住所や連絡先と言った個人情報を渡せる、という安心感が無ければ、数あるサイトの中から、自分のサイトを選ぶことはありません。
商品の質やデザインの良し悪しも大切ですが、安心して買い物ができるサイト作りが重要です。

実店舗経営

コスメ、美容に関する分野は、競争相手も多いですがその分ニーズがある上に、小規模であれば自宅の一室を使って始めることも出来るほど、手軽に始められます。
自分の趣味も兼ねて、割と気軽に起業できる分野と言えます。

前項のネットショッピング、ECサイトとは違う、対面のサロン型は地域ごとの特性を活かしたり、これまでの実際の自分の人脈も活きます。
基本的に美容系と言うとスキルが必要で、何らかの資格や免許を得なければならないように思われますが、ネイルサロンであればスキルや免許は必要なく、誰でも開業できます。
全くの未経験であっても、ネイリスト検定やジェルネイル検定と言った民間の資格があるので、もし興味があればそれを受講するのも手です。
今ではその検定もオンライン、通信形式で取得できますので、よりハードルが低くなっています。

自分のスキルを教える

前項に似ていますが、自分のスキルを教える「教室」も立派な起業の一つです。
前項のように、趣味を兼ねてとても楽しく出来ることがいくつもあります。

例えば、料理教室で自宅のリビングやキッチンで、何人かを集めて料理やお菓子を教えるというのは需要も高く、また初期費用も手軽で始めやすいです。
料理教室はとても代表的でメジャーなものですが、その他には楽器や英語などの言語、プログラミング、さらにはインスタ映えする写真の撮り方、カメラ教室などありとあらゆるスキルに対してニーズがあります。

さらに最近では、フリマサイトに似ていますが、自分のスキルをサイト内に出品して、時間ごとで契約して教えるというサービスもありますので、副業として始めることも充分出来ます。

自分で新規で立ち上げる場合は、何よりも「集客」と「スキルの内容」が一番のカギです。
特にオンラインではない、自宅や事務所で行う対面式の教室であれば、どれだけSNSを活用しても場所の問題があるので、ネットではなく自分の知り合いなどに頼んでチラシを置いたり、地域のフリーペーパーや新聞に自分のお店の広告を出すと言ったことをして、集客営業をする必要があります。
また教える内容が深くなければ、お客さんの満足度が低くなるうえに、授業も進みません。
言ってしまえば「ネタ切れ」の状態になり、折角考えたビジネスが立ち行かなくなる場合もあります。
ですので必ず、充分に教えられるぐらいのスキルを持っておいて、教えるためのスキルを磨き続ける、勉強し続けるという事が必要になります。

まとめ

一昔前と比べると、女性でも起業しやすい環境は整っています。
ただ、環境は整っていても、収益を上げていくのは自分の力、スキル一つですので、立ち行かなくなって撤退となることも大いにあり得ます。
必ず、入念にプランを考え、そして自分の今のライフスタイルも踏まえて、それから動いて行くことが何よりも大切な事です。



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